電子メールはコミュニケーションツールとして大きな舞台に立った。もう,取り返しのつかない大舞台へと。そして,それは「なにか」を伝えるものである以上,予期せぬ「なにか」を伝えてしまうことも十分にあり得る。もともと,コミュニケーションツールであることで,それは避けて通れないし,宿命として,その舞台の上で致命傷を負う可能性は否定できない。
ウインドウズで人気のメールソフト,ベッキー!などで使用されているMUAにセキュリティーホールが発見された。これはHTMLメールを利用して実行される。通常,HTML中にJavaアプレットやアクティブXなどの実行コードが含まれていた場合,外部サイトにあるものには制限を設けて実行を妨げることが多い。しかし,ローカルディスクにあるものには実行制限はない。これを利用して,メールにJavaアプレットやアクティブX添付し,ローカルディスクに保存させ,それをHTMLメールで実行することで,悪意に満ちたコードを走らせる。これらは,ウイルスチェッカーでも阻止できない。同様に,ウェブ巡回ソフトでも,ローカルに取り込ませて,表示させると同時にプログラムを実行させることができるので,注意が必要だ。
また新しいマクロウイルス(日本語環境でも感染)の驚異が伝えられているが,それは毎度のことなので取り上げない :-P 。ベッキー!は私の周りでも使用している人間が多いので,問題が大きく感じられた。それにしても…,なんとも単純なことだろう。ウェブサイトでは実行許可をなかなか与えないでいるのに,ローカルではいともあっさり実行できてしまうとは…。これは.exeファイルのトロイの木馬を実行するのと同程度の被害を受ける可能性があり,それがまたHTMLを表示しただけで起こるという,裏,もある。アクティブXで,ドライブの内容を消去するスクリプトをかけば,あとは,それを埋めたHTMLを表示させればオッケ〜というお手軽さである。
最近は,電子メールを使うためにパソコンを触る人が多いという。コミュニケーションツールとしてのみ,パソコンを使っているという。写真を見せたり,レイアウトしたページを送りあっている人たちも多いだろう。ただ,気付かぬうちに伝わってしまうものもあるのだ。それは悪意があれば,より巧妙に伝えてしまうことができる。伝えたいと思う気持ちがあって,伝わってしまうものが多くある。常に,その「危険」は,身に感じていなければ,いけないのだ,この世界では。
|